大人の女性は経験と才能で理想の家を育てる

理想の家で暮らすことは、誰にとってもひとつの夢です。

暮らしにあった家を手に入れる場合もあれば、家に暮らしを合わせる場合もあります。どちらの場合にせよ、暮らしの変化と共に見直したり、調整していくことが大切です。女性は日々の変化に敏感です。また、どちらかというと問題を見つけるのが上手です。女性ならではの視点で賢く暮らしながら、理想の家に育てていくというのはいかがでしょう。

1.家と暮らし

家は暮らしの器

理想の家と、理想の暮らしは同じ意味ではありません。

家は暮らしの器です。家という器は暮らしやすい器であることが理想です。暮らし不定形でとらえどころがありませんし、変化していくものです。

家を建てる

これから家を建てるのであれば、ご自身の暮らしに合わせた家をリクエストすることも可能です。自分で今の暮らしがどんな様子なのかを所有し、そのうえで設計者に今後どんな暮らしをしたいのかをリクエストします。

リクエストするのに大事なのが、なるべく具体的な欲しいものをリクエスト出来ることです。曖昧であればあるほどリクエストを受ける側の聴く力と提案力が必要になってきます。

いい設計者を見つけることが理想の家を手にするには必須です。

 器に暮らしを合わせる

新たに建てるのではなく、すでにある家に暮らしを合わせていく方が機会としては多いのではないでしょうか。すでに建っていた家や、マンションなどの集合住宅、賃貸住宅などは自分のリクエスト通りの器ではないかもしれません。

そこで暮らしていくには、暮らしを器に合わせていく創意工夫が必要になります。創意工夫とは、暮らしに対する積極的でフレキシブルなクリエイティブな能力です。この能力の基になるのは、様々な暮らしの体験と、親や先人や周囲の環境から学んだ知恵です。

2.器の中の暮らし

暮らしに器が合わなくなってくる

部屋づくりの悩み相談を行っていますと、多くの場合は器に暮らしが合わないと気づくのは入居から半年から2年の間で、切実に困ってくるのが4年くらいです。

多くの方が以前の住まいよりも広さや間取りの条件の良い住まいを選んで入居していますので、最初の頃からちょっと気になっていた使いにくさ暮らしにくさが、物や家具が増えてきて途方に暮れているというのが実情です。

 部屋数と広さは比例しない

特にマンションなどの集合住宅では、間取りを部屋数で表現することが一般的です。

北側玄関、南側リビングの細長い住まいでは玄関の両脇に、共用廊下に面した小さな洋室が振り分けであります。どちらか一部屋が寝室、もう一部屋は用途の定まらない予備室みたいにしてあることが多く、ここが使わない部屋から使えない部屋になりがちです。

Home floor plan

Home floor plan

部屋の用途を決める

なんとなく婚礼ダンスなどの箪笥部屋のようになってしまう。不要なもの置き場、買い置きした家庭雑貨やペットボトル入りの水などのストック品置き場になる。それらが箱で床に置かれた状態になる。その部屋を書斎など別な用途に使おうと思っても、まずすでにその部屋にあるものを整理することから始めるとなると、かなり億劫です。

物は増える

住んでから何年か経つと、その住まいでの暮らし方が定着してものの持ち方、買物の仕方、途中から変えるのは案外大変です。

もしも最初からリビングダイニングや、キッチンをなるべくすっきりとさせておきたいのなら、この小さな洋室を納戸的な部屋にすると決めておけば、ずっと楽です。

部屋の役割をあいまいにしておくと、あいまいな理由でモノが溜まります。最初からこの部屋を納戸にすると決めたなら、床に果てしなく無限に置かなくてもいいように収納棚を入れておけばいいのです。そしてその棚に収まる量しか持たないと決めておけばいいのです。何事も後から決めると、それまでのものやことを一度見直したり清算したりするのが手間なのです。

3.女性の視点

女性は、暮らしの当事者としての住まいに対して、いつも向き合っています。女性の特徴は問題点に気づくこと。多くの場合、それは文句てして表れます。最大限その才能を活かしましょう。

文句を明らかにする

住まいに対する使いにくさなどの文句をそのままにしておくと、小さな文句が互いにくっつきあって大きな文句の塊になります。文句が大きな塊になると、解決するのが難しくなります。小さな文句を見える形にしておくと、大きな塊にならずに済みます。

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写真のように、レイアウト図にポストイットなどに文句を一つずつ書いて貼ってみましょう。沢山貼られている箇所がどこなのか、それは自分で解決できることなのか、工事などが必要なことなのか、あとで検討するのに役に立ちます。家族でそれぞれが貼ってみることで、何を優先した方がよいのかがわかったります。

 文句の溜まるところ

毎日使う場所で出し入れがしにくい収納、開けにくい扉、キッチンスペースに出っ張るゴミ箱など明らかにしてみると意外と自分で解決出来ることも多かったりすることに気づきます。収納の扉は外してしまうこともできますし、出し入れがしにくい場所は使わないという選択もあります。

器を住んでいるまま変えるのは手間とお金がかかります。

器を変えることなしに住みやすくしていくには、暮らしと器を馴染ませていく努力が必要です。

まとめ

今ある住まいを住みこなしていく工夫は、住む場所の環境に合わせていくことに慣れている私たちの先人の知恵です。

暮らしの器である家は四角く、そこに住まう人の心は丸く、暮らしは変幻自在だからです。建物はそこに住む人の心、魂の入れものです。

住まいを整えることは、心を整えることです。

今日まで暮らしてきた、生きてきたすべての経験を活かしましょう。女性は日々の暮らしに小さな変化を積み上げていく才能があるのですから。