「心地いい」の感じ方はみんな一緒じゃない
人はそれぞれ異なる感覚を通じて物事を感じたり、快適さを得たりしています。
自分にとって心地よいお部屋を作りたいなら、どの感覚に特に敏感で、どのような環境でリラックスできるかを知っておくことが大事です。なぜなら、誰にとっても「心地いいお部屋」が同じとは限らないからです。
たとえば、ある人はきれいに整理された美しいインテリアや色の組み合わせを見て「この部屋は素敵だ!」と思うかもしれません。でも、ほかの人にとっては、見た目よりも使いやすさや部屋の静けさがもっと重要だったり、触ったときの家具の感触や肌に感じる温かさが心地よさを決める要素かもしれません。
感じ方の3タイプとは
人には得意な感じ方がある
人には5つの感覚(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)があります。これを五感といいます。
人がこの五感のうち、どの感覚を使って外界の情報を捉えるかに注目した理論がNLP(神経言語プログラム)表象システムです。
表象システムでは、五感の使い方に個人差があり、視覚優位、聴覚優位、体感覚(触覚・嗅覚・味覚)優位の3つのタイプがあるとされています。優位な感覚をつかって情報を捉えている利き感覚です。
この優位表象システムを基にしつつ、インテリアカウンセラーいそがやふきこ自身が、お客様との相談やインテリアコーディネートの現場経験を加味したのが「感じ方の3タイプ」です。
感じ方の3つのタイプは、視覚優位を「見た目タイプ」、聴覚優位を「意味タイプ」、体感覚優位を「気持ちタイプ」としています。
感じ方の3タイプとお部屋づくり
感じ方の3タイプが、お部屋づくりに、どのように関係しているかを説明していきます。
自分のタイプを知ることのメリット
1.自分の本当のニーズがわかる
自分がどの感覚を優先して心地よさを感じるかを知ることで、どんなお部屋が本当に快適なのかがわかります。
たとえば、視覚優位の見た目タイプの人なら、見た目にこだわったデザインや色のバランスが大切になるでしょう。反対に、体感覚優位の気持ちタイプの人は見た目よりも、家具の触り心地や空間の広さが大事になります。
このように、「流行っているから」や「見た目がかっこいいから」と選ぶのではなく、自分にとって何が本当に重要なのかを把握できるのです
2. 時間やお金を無駄にしない
自分のタイプがわかると、どんな家具や装飾が自分にとって重要で、何があまり関係ないのかを知ることができます。
たとえば、聴覚優位の意味タイプの人は、見た目にお金をかけるよりも、静かな環境や音楽システムに投資する方が満足度が高くなるかもしれません。
自分に合った選択をすれば、後から「こんなにお金を使ったのに、思ったほどリラックスできない…」という失敗を避けることができます
3. 心地よい空間が持続する
自分のタイプに合った部屋は、過ごす時間が長くなるほど快適に感じられます。それは、その空間が自分にとって自然でストレスが少ないからです。
自分にフィットした空間は、リラックスできる時間や充実感が持続します。
自分のタイプを知らないとどうなる?
もし自分のタイプを知らないまま部屋づくりをすると、思いがけず「なんだかこの部屋、しっくりこない…」と感じることがあるかもしれません。たとえば、視覚に敏感な見た目タイプの人が色のバランスを無視してお部屋をつくると、落ち着かない気分になってしまうことがあります。
また、体感覚優位な気持ちタイプの人が硬いイスや冷たい床のあるお部屋にいると、リラックスできず、居心地が悪くなってしまいます。
だから、自分の感じ方の特徴を理解して、その特徴に合ったお部屋づくりをすることで、長く心地よく過ごせる空間をつくることができるのです
3タイプはただの違いで優劣じゃない
この感じ方の3タイプには、見た目(視覚)、意味(聴覚)、気持ち(体感覚)の優先順位の違いがあるだけで、どのタイプが優れているというわけではありません。
すべての感覚にはそれぞれの価値があり、どのタイプであっても、心地よい空間をつくるためのヒントがあります。
感じ方の3タイプ別「心地いいお部屋」
自分のタイプがわかっていると、自分にあった心地いいお部屋がつくりやすくなります。
次に各タイプ別に解説します。
見た目タイプの感じ方
視覚的に情報を処理する人は、色、形、デザインなど視覚的な要素が重要です。このタイプの人は、見た目や空間の雰囲気を大切にします。美しいインテリアや整った空間に強く惹かれます。
キーワード
*キラキラ* *きれいな場所* *おしゃれ感* *流行* *第一印象が素敵なインテリア
見た目タイプにとって心地いいお部屋づくりのヒント
自分好みのお部屋をつくるには、家具や小物のデザインや色の調和を意識しましょう。また、自然光や照明など、光の取り入れ方にもこだわってみましょう。
意味タイプの感じ方
聴覚的に物事を捉える人は、音の環境が重要です。騒音が少ない静かな空間や、リラックスできる音楽を流せる部屋が心地よいと感じます。また、論理的に説明できる意味や価値に惹かれます。
キーワード
*スムーズ* *静かな場所* *由緒ある* *SDGs* *価値ある暮らしのインテリア
意味タイプにとって心地いいお部屋づくりのヒント
使い勝手や機能性を重視するので、実用的なアイテム選びや収納スペースなど、人と物の動きがスムーズで快適になるような配置やレイアウトの工夫をしましょう。
気持ちタイプの感じ方
体感覚が優位な人は、触り心地や温度、空間の広さなど、物理的な感覚が大切です。やわらかいソファや快適なクッションなどが心地よく感じます。感じることに独自の感覚やこだわりがあり、リラックス感を重視します。香りや空気の質にも敏感です。
キーワード
*気持ちいい* *安心できる場所* *木の匂い、手触り* *ほっとできるインテリア
気持ちタイプにとって心地いいお部屋づくりのヒント
やわらかい手触りのファブリックや、身体がリラックスできる家具を選ぶといいでしょう。家具や素材の質感にこだわり、座って心地よいものをじっくり選びましょう。また、部屋が適温に保たれていること、圧迫感がないことも意識しましょう。
感じ方の3タイプでバランスのいいお部屋づくり
自分の感じ方のタイプがわかると、自分にとって心地いいお部屋がわかりやすくなります。それと同時に、意識していなかった他の感覚(他のタイプ)にも気づくことができます。
大事なのは、自分の得意な感覚に合わせて空間を整えることですが、同時に、他の感覚も少し意識することで、よりバランスのとれた快適なお部屋をつくることができます。
本来、人は五感のすべてを使って感じています。
自分の得意な感覚以外の感覚を意識的にお部屋づくりに取り入れることで、五感すべての感度が磨かれ、感じる能力がアップします。
お部屋づくりで、自分のタイプ以外の感覚の要素も取り入れることで、あなたのセンスがアップします。
この記事を書いた人
こころと部屋研究所代表