大人の女性なら知っておきたい日本のスピリチュアルライフ

年齢を重ねると趣向が原点回帰するような気がします。子供の頃過ごした家の様子をとても価値あるものに感じます。また日本的なものや日本人らしさ、伝統的なものに心惹かれるのもそのひとつかもしれません。

元来女性はスピリチュアルなことやものに関心が高く、日本各地のパワースポットや神社は大人気です。日常のスピリチュアルライフとして聖なる場所=床の間を部屋の中に作ってみましょう。

1.日本のスピリチュアル

その理由はよくわからなくても、そこに行くとすがすがしい気持ちになり、厳かなで神聖な気持ちになる場所として神社やお寺、そしてパワースポットと言われる場所があります。そこへ出かけていくと、手を合わせたり祈ったりお札をいたただいたりお水取りをしたりして、何やらありがたい気持ちなります。

この神聖で厳かさを体験すると、無意識(生まれる前から体の中にあった意識)にある日本人としての集合的無意識が確かに自分の中にも存在するということがわかります。

日本の古代信仰は自然にの中にあるあらゆるものに神の存在があるというアミニズムでした。

そのことから自然を敬い愛し、人間は自然の中の一部であるという世界観を持ち自然と共に暮らしてきました。

日本の住まいは庭に自然の風景を取り込み、更に住まいの中の随所にスピリチュアル=神の存在を設えてきました。スピリチュアル=神の存在は身近で日常の暮らし中の一部でした。

2.聖なる場所=床の間

現在の暮らしの中で、神様に詣でるのではなく家にお招きするための場所として聖なる場所を作りましょう。

かつて聖なる場所=床の間でした。今では住宅の中で和室と共に絶滅の一途をたどっています。

床の間を作ることで日常の何気なく行っていることにスピリチュアルな意味が加わります。

所作が丁寧になり暮らしが美しくなり一日の質が変わります。日常的に神様の存在を感じることで生かされているという感謝と見守られていることがわかります。

床の間は家の中で最も上等な部屋にあり、心のよりどころという意味での家の中心でした。

床の間の私たち人が住む地上と、神様の住む天とをつなぐ聖なる場所です。

床の間に花を生ける、香炉を飾るのは飾ってそれを楽しむという目的以外に、神様に供えるという意味があります。

供えるの「供」は両手でモノを捧げる薦める形 飾ってあるという結果に、供えるという行為に意味を込めると、同じ行いでも神聖なものになります。

飾ってある場やモノだけではなく、そのプロセスに意味を持たせること、すべての行いに意味を持たせることが実に美しい精神性です。

結果に精度を求めつつそこに行くまでの道のりに意味を持たせることが日本人の美意識です。家事に意味を持たせられなくなったのはいつからでしょうか。

3.床の間の作り方

まずは神様をお迎えする聖なる場所=床の間を作りましょう。

3-1 場所を決める

神様をお招きする場所が床の間です。本物の床の間がなくても、床の間的な場所をつくることはできます。

お招きしたお客様に過ごしていいただく場所をどこにするのか考えるのと似ています。

玄関、リビング、ダイニングなどの飾りたいなと思う場所のどこか一カ所を神聖な空間にすると決めてください。

スペースの大小はあまり関係ありませんが、見栄えよく美しく飾る時と同様に、他のものがごちゃごちゃと置いてある場所は避けましょう。

3-2 掃除をする

場を清めるという気持ちで、神聖な場所と決めたところを拭き清めます。心をは手を通して行いになります。

掃き掃除に清めるという意味をもった行いにすること自体が美しいのです。

このとき出来れば綺麗なタオルなどで水拭きしましょう。

3-3 供えるものを用意する

神様にお供えするものはどんなものが良いでしょう?

供えるものの基本は香、火、水

供え物の最高位は香りのモノ お香であったり、同じ花を生けるのでも花の香りも供え物になります。

そして火 キャンドルやスタンドライト、もしくは光るものでもいいでしょう。

水 花を生けると水も一緒に供えます。水そのものを器に入れて盛水として供えることもあります。

季節の野菜や果物などを供えるのは、作物が採れたこと感謝として供えます。できるだけ新鮮なものを選んでください。

お菓子や料理したものを供えるときは、自然物(花、果物など)の方が上位になります。つまり人の手で作ったものは自然界のもの(神様がお作りになったもの)よりも下位になります。

3-3 お供えする場を設える

お供えする場所に床板に代わるものを敷きます。

例えばダイニングテーブルの上にランチョンマット一枚あるいはお盆やトレーを敷くことで、テーブル上に私たちが食事をする場よりも神聖な場所がマットやトレーの厚さ分だけ格が上がります。

床の間の床板は畳面より高くなっていたり、材を変えて見切ってあります。

花を生ける作業や支度はこの床板の上では行いません。この上は神様の場所です。神殿だと思ってください。

丸い形は天を四角い形は地を表します。丸と四角を組み合わせることで宇宙万物を表します。丸いものを供えるときは四角い板やマット、四角いものを供えるときには丸い盆などの上に供えるとよいでしょう。

ここまで場所を神聖にする準備をしたら、完璧です。

3-4 正面を決める

飾るときはそれをどこから見るのか考えます。見る方向によって見え方が違うのでそれを考慮する必要があります。

供え物をするときには、正面はどちらなのかを考えます。壁を背にした家具やカウンターの上を床の間に見立てるときは、その前に立って見ている方向が正面です。

ただお月見の時のお供えのように、お月様を神様と見立てる場合はお月様から見える方が正面になります。

ダイニングテーブルの上などに供える場合は、正面は決めますが、どこから見てもそれなりに美しく見えるように供えます。これは料理を盛るときのことを考えるとイメージしやすいかもしれません。

同じように花器も器も、盆もマットも板も、どんなものにも正面があります。どこが正面かはそのものをよく見てどこから見ると一番美しく見えるか観察してみましょう。焼き物は口の形の歪みや釉薬の斑になどを面白い景色としてあえて正面にすることもあります。茶事の茶碗と同じ味わい方です。

花を生けながら一度決めた正面を変えたりすることは避けましょう。

3-5 盛りものをする

正面を決めたら盛っていきます。

いくつかのものを供える場合には、同じような高さにせずどこか高くした方がよいでしょう。敷板をしたり皿に盛ったりするのは格が上がるからです。天は高いところにあります。

どこか高くすることで格が上がります。美しさも供え物になりますので、盛るものが美しく見えることも大事です。

その場合中央に中高で盛る方法と、左右どちらかに不均衡に盛る場合があります。なにも盛っていない部分も間を盛っている空間としてとらえます。

モノとモノの間も盛ものです。

盆の中に山や谷、川などの自然の景色を作っているとイメージしてください。

モノを使って景色を作っています。自然の景色があまりにも美しいので経緯をもってそれを盆の中に再現しているのです。

その形を真似る、それが最もわかりやすい敬意の表し方です。模して縮小して再現することで、自然の力を取り込もうとしているのです。

盆の中の聖なる場所は自然界のジオラマ、そしてそれをつくることでそこに神様を招き入れ、その力を貸していただこうとしたものです。

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まとめ

昔から日本の神様は万の神様で姿形がありません。海、山、滝、木、石などあらゆるものを通して神様の存在の中に神様が宿っていると信じています。光、水。風に神の存在を感じていました。

自分の家の中に床の間的な空間=神聖な場所を持つことは、姿の見えない神様を招くことそして供えたものを後で食することは直会(なおらい)といい神様の力をいただくことでもあります。

そうやって姿の見えない神の存在を感じれば感じるほど自分がちっぽけな存在であることに気付け謙虚にならざるを得ません。

大人の女性はスピリチュアルを身近に感じていることで謙虚で美しいのです。