片付けられないことと、女であることは、特に関係性があるわけではありませんが、「片付けられない女」と口にするときに、なんとも自虐的で、心がチクリと痛い感じがします。
この心の痛みには心理的にどんな秘密があるのでしょう。
部屋が片付けられないことで、男性よりも女性の方が、悩みが深刻化しやすい傾向にあります。男性は片付けられなくても、本人にとってはそれほど問題意識がないために、家族や周囲の人の方が悩むことが多くなる傾向があります。
それに対して女性は自分が「片付けられない女」だと思うことで、部屋の片付けだけではなく、他の様々なこと、自信を失ってしまう傾向があります。
1. 片付けられないと女
部屋が片付けられないことで、男性よりも女性の方が、悩みが深刻化しやすい傾向にあります。男性は片付けられなくても、本人にとってはそれほど問題意識がないために、家族や周囲の人の方が悩むことが多くなる傾向があります。
それに対して女性は自分が「片付けられない女」だと思うことで、部屋の片付けだけではなく、他の様々なこと、自信を失ってしまう傾向があります。
女性は片付けられないことで、心理的には、セルフイメージが下がり、自分を愛することが難しくなります。深層心理の中の特に「女」であることの価値が傷ついてしまうのです。
2.心のしくみ
人の心を視覚化して、説明しやすくするために心を氷山に称えます。氷山は海面に浮かぶ氷の塊のように見えますが、海面下には氷の山になっています。
《図 人間の意識》
私たちの意識は大きくわけると自分で気がついている表面意識(顕在意識)と、自分では気づいていない潜在意識・無意識の2つがあります(図2参照)
表面意識(顕在意識)は私たちの意識の中のたった4%にしか過ぎません。
潜在意識・無意識には観念、価値観、考え方、深い動機や使命感、自己イメージなどがあり、心の奥深くに埋められていて、私たちの人生に影響を及ぼしています。
潜在意識は人間関係から知ることが出来ます。「世界は自分を映す鏡である」というビジョン心理学の原則があり、相手が行動、言動であらわすことは自分の潜在意識を映し出しているということなのです。
2-1三層の意識
心は三層の意識で出来ています。
表面(顕在)意識は気づいている意識です。
気づいていない意識である潜在意識と無意識の二つは、深層心理と呼ばれることが多いです。
表面(顕在)意識
海面上に頭が出ている部分を、表面(顕在)意識と呼びます。表面意識は心の中でも知覚している部分、自分で気がついていて、認識出来る部分です。
表面意識は心の全体を100とするとわずか3-4%程度です。表面意識は現実、今起きている出来事や、ふるまい、行動に表れます。
潜在意識
海面下の氷山の部分には、潜在意識があります。潜在意識は受精後から現在までのすべての記憶によってできています。
知覚されていない感情や思考、観念や価値観があります。ここにあることは人間関係に表れることによって、知ることが出来ます。
無意識
潜在意識よりも深いところに無意識があります。無意識には個人無意識と、集合無意識とがあります。
集合無意識は、人類が誕生して以来すべての体験で、もちろん覚えてはいませんが、人生の方向性を決定づけるものです。
集合無意識は人類の心のパターンで、神話やおとぎ話、夢などで知ることができます。
3.片付けられないと心
片付けられないことによって、私たちの心の中に何が起きているのかをみましょう。
3-1表面意識
片付いていない部屋は、現実です。
私たちは表面意識で自分の部屋が散らかっていて、片付いていないと認識しています。片付いていないのは、片付けられないからだと思っています。
表面意識では、片付けようと思っています。部屋が片付いていないのは不快だし、部屋が片付いていれば、日常生活がスムーズになるということを情報として知っています。
実際は片付けるという行動を起こさないので、現実の部屋は変わっていないばかりか、時間の経過と共にむしろ片付いていない状態が悪化している可能性もあります。
3-2潜在意識・無意識
最近は片付けがブームになっていますので、片付けに関する情報をいたるところで見聞きします。その結果、片付いている部屋や、あらゆる片付けや収納方法の映像を沢山目にすることが増えたので、今まで潜在的な片付いていない部屋への不満が、一気に片付けたくても片付けられない!と表面化してきた可能性はあります
しかし潜在意識の中には、片付けられない理由が渦巻いています。
- めんどうくさい
- 時間がない他にやらなきゃならないことがある、
- なんで私がやらなきゃいけないの
- 部屋が散らかっていても生きていける
- 片付けるっていうことがどういうことかよくわからない など様々です。
などなど、沢山の片付けられない理由があります。これらの理由の中で、片付いていない部屋を前にして、すぐに出てくる理由は潜在意識の中でも海面に近い部分で、「なぜですか?」と聞かれると出て来るくらいにあります。
「本当にそうですか?」とさらに質問すると出て来るのが、
- 目の前の状況に圧倒されるような気持ちを感じている
- プレッシャーでパニックに
- 協力的ではない家族や、片付け方を教えてくれなかった親への文句や怒り
更に深い潜在意識の中には、自分は妻として母として不十分なんじゃないか、夫や子どもに対する申し訳な気持ち、罪悪感や失敗感を感じていたりします。
更に、自分はダメなんじゃないかという無力感や、すべてが虚しいような無価値感。
この現実を自分で変えられるとはとても思えない自信のなさや、自分には力がない無力感など様々な感情や考えが潜在意識の中にあります。
4.深層心理の女心
潜在意識の中にあるそれら感情や考えの基になっているのは、あなたが今までに体験したすべての出来事から作られた、観念や価値観です。観念や価値観の基になった体験は、必ずしも実際に起きたことではなかったり、事実とは異なる思い込のこともあります。
観念や価値観が人によって異なるので、同じ出来事でも体験が違うのです。
4-1価値観が今の体験をつくる
「片付けられない」の感じ方や体験が違うのは、潜在意識の深いところにある観念や価値観が違うからです。
観念や価値観は、親の考え方や育て方、生活環境、家族構成、経験したこと、見聞きしたことすべてから出来ています。特に女性が片付けられないことで、自分の「女」が傷つくのは、「女なのに…」です。
この言葉を誰に言われたかによって、傷つき度合いが変わってきます。実際にそうは言われたわけではないけれど、そう思っているに違いないという思い込みでも同じです。
4-2親の影響
「女なのに…」を親に言われた、そう思われたであろう体験が潜在意識の深いところに沈み込んでいます。
父親に言われた場合は、片付けられない女は愛されない
母親に言われた場合は、片付けられない女は劣っている
そういう価値観を認めたくないからがんばって克服しようとするし、頑張っても出来ないとその言葉を結果として証明したことになり、やっぱりそうなんだと何回も自分言い聞かせることになってしまいます。
自分の中の「女」が傷つくのは、過去の体験で出来た価値観を、再体験することで実証してしまうからです。
4-3無意識レベルの影響
潜在意識の下には、海上の光も届かないような無意識層があります。ここは暗すぎて何があるのか見ることが出来ず、イメージや夢や昔話などで語られることが多い意識です。
ここにあるのは、生まれる前からある意識で、
個人無意識では 両親のまた両親との関係、家系、先祖代々伝わってきたもの、
集合無意識的では、生まれ育った土地の風習、文化、信仰、民族、女性という意識
などです。
この女性特有の深い集合無意識のレベルで、セルフイメージが傷つくのです。
それはどういうことかというと、片付いていないという現状に対して、潜在意識レベルでイライラなどの不快感や焦燥感、悲しみや怒りなどの感情を感じるのは、深い潜在意識にその感情を作り出す価値観や観念があります。
価値観や観念は、その人が今まで体験したすべての記憶によってできています。
価値観や観念を作り出している無意識の中でも集合無意識と言われるものの中に、「女性共通の意識」があります。
この女性の集合無意識の中に、女性は男性よりも劣っているとか、女性は社会では活躍でいないとか、そういった意識があるので、現実社会では女性のリーダーが少なかったり、女性は男性に勝とうとして男性と戦ったり、女性自身が同性である「女」の価値を認めなかったりします。
片付けられない、たったそれだけのことで、女性が自分を「女」として価値がないと思うのは、潜在意識・無意識のどこかで、自分自身の価値と、集合無意識の「女」の価値を下げてしまいます。
まとめ
世界は自分を映す鏡です。
自分の周りで起きていることは、自分の心の反映です。片付けられないことで多くの女性が自分にがっかりしています。「女」でいることが苦しかったり、「女」の価値を否定したくなったりするのは間違った方向です。
片付けられない女だっていいじゃないですか。
そう思えたら、もっと片付けに対して気持ちが楽になります。たかが片付け、されど片付け。
片付けが出来ないくらいで、あなた自身の価値も、女としての価値も下がったりしませんから、どうぞご安心ください。
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