50歳になって一番の変化は50代になったという気持ちの変化で、それが50歳からの生き方に大きな違いを生みます。より大きく強くなることを目指す生き方から、弱くなることを受け入れていく生き方へ。成長して大きくなっていくのではなくて、成熟していく生き方へとルールが変わります。
1.気持ちの変化はどこからくるのでしょう?
人は生きている限りずっと変化し成長し続けます。
50歳になって自分自身の気持ち以外にどんな変化があるかというと、肉体的にはもちろん49歳よりも確実に老いているわけですし、見た目もそれなりに衰えてきます。
ご家族も親しい人達も確実に年齢を重ね、お互いの関係性も少しずつ変化をしていきます。
特に自分の親が老いていくことは、50歳を迎えた女性にとって自分の将来を見る様で複雑な思いがする変化かもしれません。
1-1 母親からの影響
学校を卒業して社会に出て、親から自立し、仕事をして家庭をもっても、ずっと自分の親から影響を受けています。
どんな影響かというと良くも悪くも、人生の先輩として自分の将来を見せてくれます。
女性の場合は特に同性の親である母親の影響が大きく、大人の女性のお手本でもあります。
ふと鏡を見たときに自分の顔が母親にそっくりだと気づいたり、また仕草やものの言い方、食べ物や服の好みなどが似ていることに気づいたりします。
母親に似ていると気づいた時に、それを好ましく思うのか、そうではないのか。
その時にどのような体験をするのかが、ご自身と母親との関係性を表します。
自分の母親との関係が50歳を迎えるのが嬉しいと感じるのかそうでないのかにも関係してきます。
母親は自分自身のこれから先を見せてくれる存在です。
そして母親に対して感じることが、実は自分自身の価値をどのくらい認め評価しているのか、更には自分のあまり気に入っていない部分をどれくらい受容しているのかに関係しています。
ご自身の母親との関係が、50歳からの気持ちの変化に影響を与えています。
1-2 20代30代 女性の変化と成長
20代では親の干渉に不自由さを感じて、必死で親から自立して離れようと頑張ったかもしれません。
あるいは内面では反発を感じながら、親の望む生き方をしようとしたかもしれません。
30代は親から自立していたとしても、親の望み従順に従ったとしても、自分の手にした場所で自分のポジションをつくることに一生懸命だったのではないでしょうか。
別な言い方をすると、20代は自分の場所を探す時代、30代は見つけた場所でチャレンジして自分らしさを表現する時代。
もっと楽しいこと、豊かになること、もっと成功すること、もっともっとと何かを求めて貪欲で勢いがあり、外へ色々なことやものを求めてきました。
更には経験不足や知識の足りない部分を勤勉さと頑張りで補い、内面の未熟さや不完全な部分の成長を学んでいく時期でもあります。
1-3 40代はそれまでの変化と成長の集大成
40代になると30代の勢いはそのままに、自分の場所でつくってきたものが形になって評価受ける、あるいは自分の場所でがんばって築き上げてきたポジションや自分らしさが周囲の人からも一目置かれるようになってきます。
あるいはそれまで自分の家族の中で妻として母親として、家族のために自分のやりたいことを我慢してきた人ほど、子供の自立と共に大きく羽ばたいているようです。
今までの人生の中でいつ自分のポジションを手に入れたかによって若干の差はありますが、もっともっと外へ求めることが続いているのが40代でしょう。
「あなたにしかできない」と掛け替えのない存在になってやり甲斐や達成感も感じます。そして評価されればされるほど活躍の機会が増え、同時に「忙しさ」も手に入れます。
また長年築き上げてきた自分なりの考え方ややり方が出来上がってきたことによって、家族間や身近な人との間にお互いのやり方の違いからストレスや衝突が増えてきます。
40代では自信に満ちていろいろな意味でパワフルに見える女性が多くなります。
では本当に自信に溢れているのでしょうか。いいえ。そうとは限りません。
いつの間にか変化することが怖くなってくるのです。
そのことが内面の変化、成長のサインに気づきにくくなってしまう原因の一つです。
2.50歳は生き方のルールが変わるとき
50歳になってすぐには気づかないのですが、数年たって振り返った時にわかります。
今までとは同じやり方では対処できない出来事が起きたりして、自分が変わらざるを得ないことがわかってきます。
2-1 50歳になって沢山のことに気づく訳
50歳になると肉体的な衰えを感じることが多くなります。
別な言い方をすると、ようやく肉体的な衰えを認め感じることが出来るようになるとも言えます。
40代までのようになんでもかんでも全力でやることが効果的ではないことに気づきます。
衰えを認めることで、自分の出来ないことや弱さを受け入れやすくなり、自分の内側の変化に気づくようになります。
もっともっとと外に求めても、手に出来る事やものが無限大ではないということが現実味を帯びてきます。
そして時間すらも限りがあるということを親が手本となって見せてくれます。
本当は40代の内に気がついていたかもしれませんが、50歳を迎えるともう気がつかないふりが出来なくなってくる。
自分にも他の人にも感じていることを感じないふりをすること、誤魔化すことが難しくなっています。
自分の弱さを受け入れることで、周囲の人のサポートや家族や友人の存在そのものに、心から感謝できるようになります。
50歳からは自分にも他の人にも過度な期待がなくなり、気持ちが楽になってきます。
2-2 強くなるための成長と弱くなるための成長
人は生きている限り変化し続け、こころを成長することが出来ます。
20代から30代までの成長は、自己(エゴ)=私という存在が大きくなっていきます。
ここまでは力の弱い存在だった自分が力を得て強くなる成長過程です。
そして40代は自己(エゴ)と共に自分の場所での役割や掛け替えのなさも大きくなって、忙しかったり不自由さを感じたり苦しくなってきます。
この辺りで、今までの成長とは何かが違ってきているのに気づき始めたかもしれません。
ここでまた、かつての20代の時のように新しい場所を探しに行き30代の時のように開墾していくのでしょうか?
またあの大変さをゼロから始めますか。それもよいでしょう。
そうするためには今まで時間をかけて作り上げてきたものを一旦置いていく必要があります。
ここからの生き方のパターンが変わり、成長していくためのルールが変わったのです。
成長して大きくなっていくのではなくて、成熟していく。
新しい場所や幸せを外に見つけに行く狩猟民族のような生き方から、今いるこの同じ場所で今まで気づかなかった美しさや幸せを何回も体験できる農耕民族のような生き方。
すでに手にしているものや人との関係の中に、何回でも新鮮な喜びや美しさを発見し、それを味わえる幸せ。
新しい刺激を求めるのでなく、同じものの中に違う魅力を発見し続けて、何回でもそれを味わえる。
自分の足りないところを埋めるための成長から、持っている才能や体験などの価値を認めていく。
生まれながら持っているあなたにしかない本質的な輝きを思い出していく。
そんな幸せを体験できるようになるのが、50歳からの成長であり、それを成熟と呼びます。
2-3 古いルールを見直す
年齢を重ねることで見えてくる世界が変わってくるとしたら、こんなに素晴らしい未知なる冒険は他にありません。
こころの成熟に大切なことは、自由さ、柔軟さ、好奇心、そして無邪気さ。
いい意味で自分勝手でいい加減な人になっていくことです。
40代までに築きあげたあなたのやり方や価値観、「こうあるべき」というルール、50歳からはそれらがすべて足枷になってきます。
成長のパターンが変わり始めたのに、今までの自分のやり方でやろうとするから40代は苦しいのです。
ここであなたのやり方や価値観、「こうあるべき」というルール、それらを一度すべてバッグから取り出してみましょう。
成熟するという冒険の旅の荷物は身軽にいきましょう。
3.まとめ
50歳になって一番の変化は50代になったという気持ちの変化であり、内面の変化です。外面の変化ほど目に見えないので気づきにくいかもしれませんが、確実に変化しています。
50代に入ると、生き方のルールが変わってきます。
今まで体験してきたことすべてが、時間をおいて熟していく段階に入りました。それはより大きく強く成長を目指す今までのやり方から、弱くなることを受け入れていき成熟していく生き方へ生き方へシフトしていきます。
今まで速足だったので、気がつかなかったまわりの景色や日々の小さな出来事に心が動き、身近な人や自分自身をもっと味わい楽しめるようになっていく。
50歳からの生き方は成熟の度合いが高いほど楽で自由です。成熟度の高さと、幸せを感じる度合いは関係しています。
毎朝生まれ変わったような気持ちで迎えることが出来る、そんな歳の重ね方をご一緒にしていきましょう。
もっと軽くて自由な60歳を迎えることが楽しみになりますように。